歯周病は、歯周病菌と呼ばれる何種類かの細菌によって起きる病気ですが、その歯周病菌の中には何種類かの強力な菌があるということがわかってきました。
それらの菌がいると、急速に歯周組織を破壊しますし、いくらブラッシングやクリーニングを頑張っても、頑固に居座って除去することができません。
実はこれらの菌は本来はお口の中にいなかったもの、外からやってきた菌なのです。

つまりこれらの菌によって起こる歯周病は、「感染症」として対処するべきなのです。これが新しい歯周病の概念になります。
当院では、内服する抗菌薬（抗生物質）等を使ってこれらの菌を除去する治療法を実施しております。

治療に先立って、これらの悪玉菌がいるかどうか、細菌検査を行い、抗菌薬を使用するかどうかを検討したうえで歯周内科治療を実施いたします。（この際、従来型の治療だけで治療可能と判定された場合、歯周内科的治療を行わないケースもあります。）
悪玉菌が除去されると、患者様自身の自然治癒能力が発揮され、驚くほど短期間で症状が改善して参ります。

何年も悩んでいた症状が、1か月もかからずにすっかり解消してしまうことも珍しくありません。

1. 位相差顕微鏡等を使った細菌検査を行ないます。
2. 菌種によって使う抗菌薬を決定し、服用していただきます。
3. 悪玉菌が除去されたら、従来の治療と同様、歯石除去などを行います。
4. 定期的に健診、再検査、クリーニング、指導などを行います。

歯周病はお口の中だけの問題ではありません。最近、歯周病菌が血管に入って身体の中に運ばれることによって様々な影響が及ぶことが分かってきました。
血管壁の内側に潜り込んで血管を詰まらせてしまうことがあり、脳の血管であれば脳梗塞、心臓の血管であれば、心筋梗塞をおこす原因となります。糖尿病の悪化因子であることも知られています。食道癌の原因となることもあります。
従って当院では、歯周病を治療することは、患者様の健康を回復し、寿命を延ばすことにつながると認識して行っております。

「歯周病は感染症である」というコンセプトから、感染させない、感染しない、ということを意識していただく必要があります。

たとえば、歯周病菌がいる状態で他の方に直接、間接的に接することで、歯周病菌をうつしてしまう可能性がありますし、治療によって歯周病菌がいなくなった後でも、歯周病の方と接することによって再感染することもあるのです。

最近では、犬などのペットから感染するケースも見られるようになりました。

一旦、歯周病の治療が終わったあとも、定期的に検査とクリーニングを受けていただくことをお勧めしております。

汚れが長期間たまると炎症が再発することがありますし、再感染する可能性もあるからです。

当院では、治療後も生涯を通じて患者様の健康を見守り、維持することを目指しております。